2011/10/04

向ケ丘遊園で野菜直売所を営む大谷さん

  向ケ丘遊園駅南口より徒歩2分。
 商店や住宅で囲まれた場所に、この辺りでは珍しい「野菜の直売所」があります。
「周りに畑は見当たらないのになんでだろう?」
 そんな疑問から、この取材は始まりました。


●直売所のヒミツ
 お店を覗いてみると、おいしそうな野菜がズラリ。
 売ってらっしゃる方に取材をしたい旨を伝えると、快く応じてくださいました。
 お店の名前は「大谷農園」さん。
 それでは、大谷農園さんの知られざるヒミツについてご紹介します!

1.『経営しているのは大谷さんご夫婦』
 店主は御年75歳になられる大谷定良(さだよし)さん。
 奥さんの干子(もとこ)さんと共に、毎週火・金曜日の朝8時からこの場所で野菜を売っているそうです。
 すぐ後ろには川が流れ、大きな欅の木陰となるこの場所はとても居心地が良く、のんびりとした時間が流れていました。

2.『お店を出すことになった経緯』
 お店の歴史は、平成10年11月6日から約十三年も続いているそうです。
「最初は駅からもっと離れた姉の家の前でお店を開いたが、そこでは売れゆきが良くなく、ためしに駅の近くに場所を移してみたところ飛ぶように売れ、その後いくつか場所を変えて今の場所に落ち着いた」とのこと。
 現在場所をお借りしている車庫の所有者の方には、土地代の代わりに月に数回野菜を無料で譲っていて喜ばれているそうです。

3.『お客さんの声』
 取材中もたくさんのお客さんが訪れ、売れ行きは好調のよう。
「いつもどのくらい売れるんですか?」とお聞きしたところ、「早い時はお昼前に完売することもある」とのこと。
 お客さんのお話を伺うと、「おしゃべりするのが楽しい」「旬のものがおいてある」「料理の仕方を教えてくれる」「スーパーのものより安心」「まけてくれる」など、農家の方と直接話すことのできる直売所ならではの魅力をたくさん聞くことができました。

4.『野菜はどこで育てている?』
 さて、気になる畑の場所をお聞きすると、向ヶ丘遊園駅から10駅先にある「唐木田」駅のほうにあるそうで、後日そちらにも伺う約束をしました!(詳しくは後述に!)

●大谷さんはこんな人
 小学校三年生の時から農家であるお家のお手伝いをしていた大谷さんですが、過去には八百屋・百貨店員・土方・茅葺屋根の職人など、様々な職業を経験なさっていたようです。
 そのようなお話を伺っていると、突然「おもしろいものがある」とお店の裏に回りだした大谷さん。
 我々が慌ててついて行ってみると、なんとそこには…(↓動画参照)。

表から見ていた時は全く気がつきませんでした。
こんなお茶目な面も持つ大谷さんでした!(笑)

…数日後…
 という訳で後日、唐木田にある大谷さんのお宅にもお邪魔しました。
 東京であることを忘れてしまうくらい自然が多く、のどかな町でした。


●田んぼ
 まず大谷さんに案内して頂いたのは、田んぼです。
 一面に広がるこのお米の品種は、「ひかりしんせい」といいます。
 収穫できる量は千キロほどもあるそうで、手作業ではとても難しく、収穫から精米までを機械で行うそうです。
 またそのお米は商品にするのではなく、ご家族やご近所で分けて食べるそうです。

●畑
 場所を移動して、今度は畑のほうにやってきました。
 大谷さんの所有する畑の総坪数は、なんと三千坪もあるそうです。
 育てる農作物は、キャベツ・ブロッコリー・大根・インゲン・ゴボウ・里芋・ナス・カボチャ・キュウリ・ミョウガ・トウモロコシなど、季節によって様々。
 これだけの量が直売所だけで売れてしまうので驚きです。
「ご夫婦二人だけで作業するのは大変ではないですか?」とお聞きしたところ、「機械を使っているから、人だけでやるよりは全然楽」とのこと。
 それでも毎日力仕事をするのは大変だと思うのですが、農家の方はすごいです。

●お墓
 お宅の裏にある高台の上には、墓石がいくつも並んでいました。

 

 これらはすべて、本家のご先祖様のお墓だそうです。 
 中には元禄時代に建てられたものもあり、大谷家の歴史の深さを感じました。
 お墓が自分の土地の中にある、という光景は初めて見たため少々驚いたのですが、毎日お墓参りすることができ、ご先祖様も寂しくなくて良いなと思います。

●お宅
 取材後、大谷さんのお宅にもお邪魔しました!
 お宅の広さはなんと六百坪もあるそうです。
 畑の新鮮な野菜をふんだんに使ったおいしい食事までご馳走になり、いろいろなお話を伺いました。

 
先ほど見て回ったお米や野菜たちが食卓に。
本当においしかったです! ごちそうさまでした。

●感想
 自然に囲まれた生活は、都会で生まれ育った私にとって全く馴染みのないものでしたが、今回の取材で田舎の方々の優しさ、野菜を食べられることの有難み、たくさんの自然がもたらす癒やしなどを知ることができました。
 取材当初は小さな直売所で売られている野菜たちが、こんなに広大で自然に恵まれた土地で育てられているとは想像もしていませんでした。
 また、人生経験が豊富で豪快なお父さん、料理上手で笑顔の暖かいお母さん、優しく穏やかな長男さん、大谷さん一家の人柄と貴重なお話は、取材を抜きにしても本当に楽しかったです。ありがとうございました!


 今日若者の「農業離れ」「田舎離れ」が進んでいますが、日々汗水を流して作物を育て、お客さんと笑顔でおしゃべりを楽しむ大谷さんご夫婦の姿を見ていると、「なんて素敵なお仕事なんだろう」と思います。
 世の中を便利にし進化させることも大切ですが、一方で自然を守り、私たちに必要な農作物を育ててくれている方たちへの感謝も忘れてはいけません。
 そういったお仕事をされ、のどかで充実した日々を送る大谷さんは、まさに「埋蔵文化人」でした。

 向ケ丘遊園駅にお越しの際は、ぜひ「大谷農園」さんへ新鮮な野菜を買いにいらしてください♪

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